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大阪高等裁判所 昭和25年(う)1178号 判決

被告人

松原宗太郎

主文

本件控訴を棄却する。

理由

弁護人春日源太郎の控訴趣意第三点について。

しかし、衣料品配給規則第三条は所定の登録を受けないで衣料品の販売の業を行うことを禁止し、その違反を処罰するものであつて、販売行為は反覆せられる多数の行為を包含するものであるから之を包括的に一個の犯罪として処罰すべく、個々の行為に対し併合罪として擬律すべきものではない。しかも原判決がこれを包括一罪として処断したのに対し、併合罪を主張するのは被告人に不利益な論旨であつて、いずれにしても弁護人の主張は採用に値しない。

第二点について。

しかし、本件において処罰の対象となるものは、被告人の売渡行為であつて、その買受行為ではない。そして被告人の売渡行為を原判決引用の買受及び販売一覧表に基いて、買受行為と売渡行為とを対照して見ると補強証拠がなく被告人の自白のみで認定しているのは、昭和二十四年五月二十二日岐阜県揖斐町の山賀某に売渡した靴下三種合計十三打にすぎない。原判決のこの措置はもとより違法であるけれども、その数量から見て、原判決の刑の量定に影響はないものと認められる。論旨は理由がない。

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